ストーリ








プロローグ


 剣が、打ち震える。
 これでもう何合目だったか、わからない。相手に向かって剣撃を浴びせ、相手からの剣撃を返す。
 私怨はない。ただただマーガレットに近づきたくて、それだけのために闘っている。相手も、そうなのだろう。
 剣師すべてに勝つことができれば、マーガレットに逢えるだろうか。そんなことができるのはマーガレットただひとりだけなのか。まだ見ぬマーガレットに恋焦がれ、終わらぬ闘争の果てになにがあるというのか。
 もう、そろそろ、疲弊した。憔悴した。夢見る若さなど、恋する若さなど、とうに過ぎた。幻想を追う力も冷めてしまった。私は、もう──。

 世界が啓けた。剣を手にしたときから闘うことしか頭になかった私を空の青さが突き刺す。まばゆい。空気の静寂を感じとることができる。その中で息を切らす私たちふたりがとんでもない愚か者のような気がした。

 剣と剣が交わる。
 彼女の目にも翳りが見える。気づいている。そう、みな気づいているのだ。誰もがマーガレットの矛盾に気づき、了解の上で闘っている。いつからか誰かが言い出した幻想の虜になっている。
 私には追いかける力が残っていない。
「私の負けだ」
 彼女は虚を突かれた顔をしている。油断を引き出すためなのかと、すぐにまた緊張する。私に余力があることがわかっている。しかし、私には情熱がない。マーガレットを追い求める強さを失ったのだ。
「アンタも負けてみないか? マーガレットに」





 かつての若い私はマーガレットに憧れ、剣を手に取り戦いに明け暮れた。
 いまの私はマーガレットへの夢を諦め、平穏で退屈な生活を手に入れた。

 同志であり仇敵でもあったギルドの剣師たちは、挫折した私を蔑みの目で見ていたが気にはしない。パートナもまた、のんびりとしたこの生活を気に入ってくれているようだ。
 剣師は辞めていない。剣師にとってギルド除名は死を意味する。剣ひとつで生きてきた私は、剣を手放すことはできなかった。
 ギルドから斡旋されるモンスター掃討の仕事をこなしている。あんなに嫌いだったモンスター掃討を、いまでは率先して遂げているのだから人生はなにが起こるかわからない。
 パートナとふたりで戦うことを憶えた私は、その共同作業が楽しい。敵の攻撃を防御することに長けた私の技術は、それをもってパートナの身も守りつつ戦う。息を合わせるにはコツがいるが、うまくいくとこれ以上に気持ちのいいものはない。ふたりの意識がひとつになって戦っているような気分だ。腕が四本もある。ひとりではできないことも難なくできてしまう。
 不可能はなにもないとさえ思う。





 夢を見た。
 男とも女ともつかないほっそりとした身体に、葡萄色の髪。なにより、鹿のような威容な角に目を見張る。彼だか彼女だかは、ゆらゆらと宙に浮かんでいる。表情はない。
「志半ばで折れた剣に、なにが切れると云う」
 その声は私のものでもあった。
「紗を断念し、試を退くものはあった。皆、剣を棄てた。なれど、御前はいまなお剣を振る。信念脆い弱きが群れたところで蛇蝎と疎まれよう。烏合に身を寄せて、ひとときの逃避か。舐め合う舌はさぞ甘かろう。御前に在るのは剣の残滓のみ。剣に果てることもできぬ末路。生き恥を晒すざまで、いずこを目指す」
 なにも答えられない。羅列された言葉が、音が、引かない痛みとして私に突き刺さる。
「すっごい寝汗。悪い夢でも見たの?」
 覗き込む顔に安堵する。
「大丈夫? 朝食作ったけど、食べる?」
 パンと目玉焼きだった。目玉焼きにはマーフォークのソースが振りかけられている。目玉焼きにはターコイズの粉化粧だと、なんど言えばわかってもらえるのだろうか。





 ショショショショ、ショショショショ。
 部屋に充満する薬の香りが鼻腔を通して目に刺さる。
「どうにかならないか、この臭い」
 もう何時間も、パートナはこうして薬材を挽き続けている。一定時間ごとに繰り返される恨み節のつぶやきは、すでに数回前から返事がなくなっていた。
 パートナの言うことはもっともであるし、必要なことであるとは理解している。ハイドラと闘ったことがあるというパートナは、そのときに剣を振るう右腕がハイドラの吐く毒液に触れてしまった。すかさず懐剣を取り出し、パートナは自らの腕を切り落とした。
 ハイドラの首とは違ってパートナの腕は再生したりなどしない。そんな経緯をもつパートナに向かって解毒薬を作るなとは口が裂けてもいえないだろう。しかしどうしても、臭いを我慢できないのだ。
「ところで、その解毒薬って誰が持ってゆくんだ」
 返事があった。
「補助役は、決まってるだろ」





 やあ諸君、元気かな。──そうかい、なによりだ。
 ここに集まっているということは、とりもなおさず剣師に興味があるということだね。とても喜ばしいことだ。われわれギルドは熱烈に歓迎するよ。
 強きが助けられ弱きが挫かれるこの時代。世に悪がはびこり、幅を利かす。力なくば聖人でさえ口を開くことを禁じられ、弱いままでは善人すら目を開くことを許されない。弱者は死者に同じ。満足に活きることさえできやしない。──強くなければ。
 わがギルドの門を叩いたからには、われわれが保障しよう。諸君は強くなる。めきめきと剣の腕を上げ、世界中に名を馳せる。この中から僕を超えるものもきっと現れるだろう。いずれ僕はギルド長の座を譲り渡す。受け取るのは諸君だ。僕が育てたギルドをさらに発展させ、躍進させ続けてほしい。僕はこれから老いるばかりだ。これからの時代はぴちぴちの諸君の肩にかかっている。いつまでも老兵を扱き使わないでくれよ。
 さあ、長広舌は僕の趣味ではないし諸君も退屈だろう。前進せよ。これからは時代が諸君に背くことはない。これからやってくるのは諸君を必要とする時代だ。この用紙に名前と年齢、身長体重、武術の心得の有無を記入して血判を押してくれ。未来はそこにある。いざ往かんマーガレット。


「──僕の演説を聞いてもらえたようだね。どうだい? ──あはは、そうか。まあね。でも、ああいったものは大仰なぐらいなほうがいいのさ。
 ご両人、腰掛けたまえ。そんなに畏まらなくていい。どうした? 剣師の円卓なんて伝説上の逸物だと思っていたのかい。円卓も、剣師も、ここにこうして存在する。ギルド長とは違う、僕のまた別の顔さ。とはいえ、円卓の剣師はちまたで噂されているような正義の味方ではない。そうは易々となれないさ。僕たちなんてしょせん、剣の握り方も忘れた頭でっかちの名ばかり剣師だよ。
 君たちの経歴のほうが何倍も素晴らしい。特に君。守りの賢人と恐れられた君がマーガレットに出場しなくなったと聞いてひやひやしたものだが、僕の心配になど及ばなかったね。モンスター討伐を積極的に受けてくれているそうじゃないか。ギルドに多大な貢献をしてくれているよ。いやいや、ギルドのためばかりではないと承知している。しかし君のその意思が、ギルドにとって恩恵となっているのだ。そして、剣師への世間評価につながる。感謝しているよ。
 その功績を称えて、君たちを円卓の剣師に招こうというのだ。もちろん、強制はしない。でも、悪い話ではないだろう? 僕は最大限の敬意を払って誘っているつもりだ。どうかその席に着いてほしい」
 空席がふたつ。そこが私とパートナの席だという。その席はマーガレットに出会うよりも現実的で、だからより遠くに感じる場所。指折りの名剣師が在籍し、マーガレットに最も近い場所といわれる円卓が私たちのために空けられている。
 椅子の背を引く。腰を下ろそうとした瞬間、隣の剣師の顔に喜色が浮かんだ。
 剣が嘶く。
「剣を抜き刃を止めるにとどまらず、パートナを守るため左手で制すとは。守りの賢人はその守りの範囲をパートナにまで伸ばしたか。噂にたがわないな。見事の一言。
 悪くとらないでほしい。円卓の剣師が君に剣を振るのはこれが最初で最後だ。君が円卓の剣師になったからには二度と起こらない。剣でしか剣師を計れない剣師の性だと、許してはくれないか」
 甘言でごまかそうとこれは脅迫に他ならない。名だたる剣師たちの視線が私たちふたりに集まる。どれもこれもどこかで見たことのある顔。有無を言わさず、頷くことだけを要求されている。
「それではさっそく、君たちにお願いがあるんだ。
 マーガレットの試合なのだが、──君たちがマーガレットに参加しないのは知っているよ。見ていただろう、ギルドの新規参入者の集まりを。彼らの試験を行うんだよ。そのための試験官を君たちに依頼する。試合形式はマーガレット戦『トレード』。君たちの働きに期待しているよ。マーガレットの加護があらんことを」





 ごげぇ。げぼろろろっ。ぐぅんぐへ。けほ。けほ。

 とてもよく洗練された剣筋だ。試験風景は僕も見せてもらったよ。聞きしに勝る凄腕だね。これならば安心して頼めるな。うんうん。
 ところで、イクソバクノーの悪魔というモンスターを知っているかな。人の心を読み、巧みに操って惑わすモンスターだ。もうひとつの大陸では有名なんだが。──名前を聞いたことぐらいはあるようだね。
 最近は調子に乗って魔王を名乗っているようなんだ。その名に相応しい規模の被害も出ている。まだ大きな声では言えないが、とある小国が乗っ取られた。今後も侵略は続くだろうね。
 そこで、君の出番さ。イクソバクノーの悪魔を討ち取ってくれたまえ。船券はもうふたり分とってある。出航は今日だ。気をつけて行ってきてほしい。さあ、早く。マーガレットに君たちの旅の無事を祈っておくよ。

 パートナが船に弱いと知ったのは、ギルド長の話を受けてすぐだった。支度もろくにできないまま船に飛び乗ることになって、今後の相談をしようとしたそのとき吐いた。
「平気か。船旅はこれからだぞ」
「なんとかなるさ」
 ふと、外を見ると海が黒い。あぶくがたっている。
「なあ、おい、これって……」
「……なんとかするさ」


 陽の光がここまで過酷なものだとはじめて知った。
 直射日光を避けるために全身を衣服で覆う。布が汗を吸って重い。砂塵が入り込んで付着する。踏み出した一歩が砂の中に呑まれてゆくようだ。歩けど歩けど同じ風景。
「きゃー。トカゲ、トカゲー」
 この状況でも元気なパートナといっしょでなければ、心に弱音が巣食っていただろう。
 ──待て、その蜥蜴は。

 レイスとの戦いで用意した置き土産、解毒薬をもってきていてよかった。どうやら自然毒全般に効くようだ。砂漠には有毒生物が多い。デザートリザードもその中の一種。
「ねえ、あれ」
 今度はなんだろう。
「あの岩、人の形してるね」


 闇に包まれた城。奪われた城はイクソバクノーの悪魔の居城となっていた。
 その上空を、見守るように旋回するモンスターがいる。
「高潔な種族が、なぜ……」
 竜の眷属はみな、そう呼ばれている。誇り高く、孤高で優雅な竜族を指すに相応しい。
(その名で呼ぶな)
「かの竜が、なぜ一介の悪魔に肩を貸す? どころか、悪魔の下について見回りだと」
(人類ごときが、われらを量るな。千年の悠久を孤独に耐えるのみ費やす生涯を知らぬ人類に、かくあるべきを諭される筋はない。同種でさえ類稀な魂の同調をわが主は叶えたのだ。千年の念願。人類なら何世だ。
 ようやく満たされたわが望みを、お前たちは断ち切るという。わが命など鎖に過ぎぬ。わが意は主のもの。わが身を主に捧げよう。主が召すなら、わが肺は世界をすら焦土へ変える。
 滅びよ。主に仇なすものは何人たりとも許さん)

 囚われている。かつての私を見るようだ。
 種族も寿命も関係ない。彼はイクソバクノーの悪魔が映し出す幻想に浸って抜け出せないでいる。


 城内。回廊が捻じ曲がっている。上下左右前後の感覚を狂わされたまま進むことを強要されている。足元がおぼつかない。歩くペースが落ちてくる。歩幅も次第に短くなる。
 ぽん、と肩を叩かれた。無理に笑ったパートナの顔。誰しも恐怖を感じる。それでも励まそうとする、その気持ちに心を打たれ、気を引き締める。
 前方から、ゆらりとふたつの影が現れた。すわ、モンスターかと構えるとどうも違う。あれは、あの剣師は円卓で見た。ぎらりと光る目つきが胡乱なものに変わってはいるが、ギルド長から剣師試験を要請されるときに席についていた円卓の剣師。
「巡る」「寄せる」
 ふたりが口を開く。どこか茫洋とした、捉えどころのない声だった。
「よく参った」「ふたりの剣師」
「姿形違えど」「我が城主なり」
「この二つ傀儡」「円卓の剣師」
「悪計に拠りて集う」「魂なき死した剣師共」
「御前達を追って」「ここに至る」
「御前達が苦杯を嘗めるとき」「その杯ごと始末する掃除人」
「御前達がこのイクソバクノー斃すとき」「その栄を掠め取る簒奪者」
「我が城に調和しない」「よって人形とした」
「御前達を迎えるに」「手頃だろう」
 イクソバクノーの悪魔に操られたふたりの剣師が剣を抜いた。


 光が駆ける部屋。雲海のように穏やかに蠢き、白骨のようにしっとりと冷たい内壁の中を、輝く奔流が周遊している。
 その壁から浮かび上がるようにして悪魔が存在している。人のような姿をしていながら、決して人ではない。すっきりした貴族的な顔立ち。白い貌。目つきは物憂げで厭世的だが、人を惹きつける。すらりと長い手足を弄ぶように動かす。豊かなワインの髪からぬっと現れた威容の角。夢で見た姿。
「問う。紗剣師にならんがため闘うこと。魔物を葬ること。違いはどこか」
 悪魔は悪魔自らの口で発声する。
「行為は高潔か、道義か、厳正か。人と魔物を殺めることの違いは、呵責の有無のみだ。立ち戻れ。
 なぜここへ襲来する。世が魔物ゆえ。命じられたがゆえ。彷徨して辿り着いたゆえ。元国の民草ならばその仇討ちを、哀しみを、総て受けて粉砕し、常しえの虚無へと捧げよう。
 しかして御前はそうでない。世の名前ほどしか知らぬ御前に胆を嘗めることなし。金か名誉か、それも非なり。道に迷い戸惑う心を鎮める剣の一振り。肉体切り裂くことで得るひとときの休息、逃避。惨くおぞましい。
 この地征するに用いたは武力。人が敵地を奪うに則る法は武力と悟る。イクソバクノーによりて王ひとりを執り込めば済むところを、武力一点。剣のみ。知覚できるか。仮想できるか。
 疎まれ虐げられる魔物を、人と同じく生きる価値と認めさせんがため。この顛末はどうか。御前たちはこの場に世を抹殺せんと入城した。嘆き。この憂鬱が御前たちに通うならば。
 世が全能放てば、瞬きとともにこの世総てに君臨することができるというのに」

10

 激しい打ち合いの末に悪魔の長剣が折れた。私の斬撃はそのまま心臓を薙ぐ。
「猪口才な。命をひとつ喪った」
「イクソバクノー様!」
「失せろ。うぬの出る幕なぞはない」
 黒い翼の天使が悪魔に駆け寄るが、一喝され、差し伸べた手は所在なげに宙を彷徨う。
「なにを棒立ちする。目障りと云うが読解できないか」
 天使を一瞥する。天使は虚を衝かれた顔でありながら見事なフォームで疾走し始めたのは、『走る』行為のみを操られているからだ。壁に衝突する、そう思ったときには天使の姿が消え、壁に穴が空いていた。これは、窓だ。ひょうひょうと外の冷たい風が吹き込む。落ちて無事で済む高さではないことは容易にわかる。
 悪魔はどこか遠い目をしているが、やがて小さく忍び笑いし、それは哄笑にまで増幅された。
「三者介入は心得違いの所存。ただただ数増せば、責拡散し総意なき郡体は無秩序の山を登る。アンジェリカ然り、お前達もまた然り。事象当事者なるは、侵略した我軍それと侵略されたか弱きか弱き小国。我が戦いに干渉することがそもそもの過ち。要らぬ厄介。横槍に正対する謂れなし。お前達がお前達でその罪を禊ぐがいい。
 我、イクソバクノーの術を解放ち、幾十許の脳を司らん。幾十許脳の名の由来、その真髄を脳にとくと刻め」



 むかしあるところに、守りの賢人とよばれるたいそう腕の立つ剣師がいた。
 守りの賢人はほかの剣師をなん人も斬ったが、やがて人を斬ることをやめた。
 ちょうど試合のさなかだったという。対戦相手に「マーガレットに負けよう」と誘い、ふたりで試合を降りた。
 ほかの剣師がかわいそうになったからではない。剣師を斬っても斬ってもいっこうに夢が叶わなかったからだった。だれよりも強くなればマーガレットとという女剣師に会えるといわれてきたが、そのきざしはあらわれなかった。
 そこで守りの賢人はモンスター退治をすることにした。わるいことをする怪物をたおす、ひとの役に立つ仕事だ。強くてひとりではたおせないモンスターはふたりでたおした。
 ぷるぷると揺れるジェリーをたおした。
 ほらあなに住むコボルドをたおした。
 いたずらをするレイスをたおした。
 そのうちに、守りの賢人は剣師ギルド長にちからを認められて魔王討伐をおねがいされた。守りの賢人はすぐに魔王のいる大陸にむかった。
 船で進んでいるところをクラーケンに襲われたが、ふたりでたおした。
 魔王によっていのちを与えられた砂漠のボールダーもたおした。
 魔王の城の番をしているドレイクもたおした。
 ふたりは魔王とたたかった。長い長いたたかいで、でももうすこしで勝てるというところだった。あともう一太刀。守りの賢人は、戦友もろともに魔王を斬った。



「視えるかこのビジョン。嘘偽りのなき真実。
 誘いに乗った剣師は黒髪のうら若き女剣師。ジェリーと戦ったのは痩せぎすの青年剣師。コボルドと戦ったのはナイフ捌きが売りの少年剣師。レイスと戦ったのは右腕を失った義手剣師。クラーケンと戦ったのは不幸が顔に張り付いたような青年剣師。ボールダーと戦ったのは豪腕の少女剣師。ドレイクと戦ったのは無口な僧兵上がりの剣師。
 守りの賢人と共に戦った剣師の総て、共闘したすぐ後に剣師ギルドより除名処分を施される。知らぬ筈はない。ギルド除名が何を意味するか。
 守りの賢人、その者こそお前の敵。剣を向ける相手を違えるな。──怯むな眼を啓け。お前の朋輩は、イクソバクノーの悪魔この世である」
 パートナの目が、私を冥く睨んだ。

エピローグ


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